Not Quick a Nine

日々の気になることを、独断と偏見で綴る、バカ親父ブログです

JASRACが音楽教室に著作権料の徴収を始めるらしい

JASRAC音楽教室に噛み付く!

今朝テレビを見ていたらとんでもないニュースが飛び込んできました。

あの、悪名高きJASRACがまたもや暴れているらしい。

なんでも、全国の音楽教室から使用量を徴収すると言い出したらしいんですね。

なにをバカなことを言っているのか!?と思いましたが、今までの所業を見ていると本気なんだろうと思います。

楽曲の著作権を管理しているJASRAC=日本音楽著作権協会が、来年以降、楽器の演奏を教える音楽教室から使用料を徴収する方針を決めました。対象となる教室は9000か所におよび、通知を受けた事業者は「教室での利用は使用料が発生するケースには当たらない」などと反発しています。
音楽教室から使用料徴収へ JASRACが方針決定 | NHKニュース より引用

JASRACとは

今更感はありますが、一応基礎知識として。

JASRAC(日本音楽著作権協会)
作詞者作曲者音楽出版社が持つ著作権を管理する一般社団法人

JASRACはおよそ300万曲を超える楽曲の著作権を管理しています。
各著作権者に変わって、利用許諾や著作権料の徴収を主な業務としています。

JASRAC誕生秘話(プラーゲ旋風)

1931年(昭和6年)ドイツのプラーゲ博士がヨーロッパ楽曲の著作権団体の代理人として、日本での著作権の使用許諾・使用料請求など、著作権の仲介業務を開始しました。

当時の日本は著作に対しての認識が甘く、海外の音楽などは著作を無視していたので、プラーゲは高額な使用料を請求し始めました。

そのあまりにも高い請求額に世間は驚き、あのNHKでさえ海外の楽曲を使えなくなるほどで、『プラーゲ旋風』と呼ばれ社会現象にまでなりました。

著作権法を管理していた内務省は、著作権の仲介業務を行うには監督官庁の許可が必要なように、「仲介業務法」を制定しました。そして、1939年(昭和14年)にこの法律の許可を受けJASRACが設立されました。プラーゲ博士は、仲介業務の許可を受けることができず、1941年に帰国しました。

これ以来、JASRACは日本国内の著作権管理を独占的に引き受けてきました。

最初は救世主的存在だったのに

このように、実はJASRACは日本の音楽業界をプラーゲ博士から守る救世主的存在としてこの世に生まれたのでした。

そもそもは日本国内の音楽著作権をいってに引き受ける事で、海外からの侵入を防ぐという、防波堤・鎖国のような方法で日本を守るために生まれたJASRACだったんですよね。

なのにその存在がどんどんと大きくなり、金の亡者になって飼い主に噛みつき始めてからおかしくなってきたんですね。

まるでミカジメ料の取り立て

著作を管理する立場から一転、まるでミカジメ料を取り立てるかのように、各方面に噛みつき出したのが、おおよそ45年ほど前。この頃からJASRACの役割は管理する側から積極的に徴収する方法に変わってきています。

1971年 社交ダンス 2001年 MIDI愛好家 2003年 JAZZ喫茶 2011年 フィットネスクラブ 等々

とくに、JAZZ喫茶の事件は衝撃的で、当時あったJAZZ喫茶がこの案件をきっかけに、次々と閉店したのを覚えています。

MIDI愛好家への徴収も「これがMIDIの衰退を進めた』と言われるほど、業界へのインパクトは大きかったです。この一件がなくてもMIDIは衰退しただろうとの見方も出回っていますが、実際に後押しをしたのは確実だと思います。

ついに音楽教室にまで噛み付く

そして、今回の事件発生ですよ。

とうとう、音楽教室にまで噛みつきました。

JASRACの主張

JASRACによると、
『不特定多数の人から営利目的で授業料を取っているので、音楽教室で演奏する楽曲には演奏権が発生する』
として、音楽教室の事業者に向けて、年間受講料の2.5%を著作権料とする案を提示しているそうです。

今回のJASRACの発表によると、徴収対象は事業者が提携で運営する全国の9000ヶ所の音楽教室とされているので、その多くはヤマハやカワイ、島村楽器の音楽教室のことでしょうね。(今回は個人事業の教室には請求しないとのこと)

使用料は、使った楽曲の数や回数にかかわらず使用料を支払う「包括契約」を適用したばあいの計算らしい。

ちなみに、この方法で計算すると、全部で20億円の徴収料になると試算されているそうです。

ヤマハの主張

『あくまで教育目的なので著作権料が発生するケースに当たらない』

と、主張は真っ向から否定。

事業者側は連絡協議会を立ち上げて、今後の対応を検討する方針だそうです。

著作権法からみた状況

著作権法の35条では、以下のように定めています。

著作権法第35条1項では、以下の条件にあてはまる場合は、「教育機関における複製」として、作詞者、作曲者等著作権者の許諾を得ることなく音楽などの著作物を複製できることが定められています。

  1. 学校その他教育機関(営利を目的として設置されているものを除く)において、授業の過程で利用することを目的として複製する場合であること

  2. 教育を担任する者及び、授業を受ける者がおこなう複製であること

  3. 必要と認められる限度であること

これが認められた場合……

万が一これが認められるとすると、当然各教室での授業料に直接響いてくることは避けられないと思われます。

今でも高い授業料が、今回の出来事をきっかけに値上げされるとなると、音楽を始めようと思うお子さんが少なくなってしまうのでは?と心配になってしまいます。

まとめ

JASRACが著作権を総括的に管理する方法っていうのはとても画期的で、手軽に著作権に関する管理をしてもらえるという面で役立っていると思うんです。

その一方で権利を主張しすぎると、みんなで楽しむ為の音楽を演奏したり歌ったりという場を奪ってしまうことになり、結局は音楽業界衰退の後押しをしてしまっているんじゃないか?とも思うんです。

そもそも、著作権者にこれら徴収されたお金はきちんと分配されているんでしょうか?この辺の不透明なお金の流れもどうにかしたほうが良いと思うし、そろそろJASRAC自体を見直したほうが良い頃なんじゃないでしょうかね?