Not Quick a Nine

日々の気になることを、独断と偏見で綴る、バカ親父ブログです

町工場の若旦那が『神戸製鋼&日産データ改ざん』のニュースで感じた品質維持とコストダウンのジレンマ

こんにちは、超久々のブログ更新です。

ブログの更新が滞っていた理由としては、

  • ニンテンドースイッチの販売情報Botを作るのに専念していた
  • そのタイミングで仕事が超多忙になってしまった

の2点ですかね。

とりあえず、スイッチの販売情報Botはこちらなので、まだ購入できていない方はフォローしてみてくださいな(^o^)

一週間以内には、ほぼ確実にスイッチが手に入るツイートが入ってくると思います。 まぁ、各販売店の気分次第だったりもするので、一概に断定はできませんけどね(^_^;)

twitter.com

んで、、、
毎度のことながら政治がらみの事は書きたいことが超あるわけですが、昨今のニュースで強烈なインパクトがあったのが、各種データ改ざん事件ですね。

神戸製鋼&日産自動車データ改ざんのニュース

まず最初に飛び込んできたのは日産自動車の偽装ですかね。

www.sankei.com

で、矢継ぎ早に入ってきたニュースがこちら。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171009/k10011172391000.htmlwww3.nhk.or.jp

私の本業が製造業なので、今回は後者の神戸製鋼の改ざんニュースについて深掘りしてみたいと思います。

最初に断っておきますが、データ改ざんや偽装はダメだと思いますし、こういった不祥事へのペナルティはきっちりとしていかないといけないと思ってます。 それを分かった上で、敢えてその先のお話ということで読み進めてくださいね。

無茶な品質維持要求に答えきれなくなっている気がする日本の製造業!?

ちょっと前の日本の製造業と言えば、高精度・高品質が売りで、日本の製品なら間違いない!みたいな風潮がありますよね。

確かに、以前の日本の製造業は世界のトップを誇る高精度な製品をバンバン作り出していましたが、最近ではキチンと管理さえすれば、どこの国でも同じような精度の製品を作れるというのが現状です。

もう、日本でしか作れない高精度なんてほぼ存在しないんですよ。

というのも、今では工作機械や検査機器もIT化が進み、非常に高精度な製品を安価に作れるようになりました。設備さえ整えれば、中国だろうと東南アジアだろうと、どこでだって良い製品が作れます。

そう、今は格安で高精度な製品がどこでも製作可能な時代なんですね。

ところが、日本は高精度・高品質で世界一でなきゃならないわけで、各メーカーは下請けの製造業者に世界一の精度を要求してきます。

そして、精度のみならずにコストダウンも要求してきます。

以前は精度の良い製品を作れば、多少のコストアップは仕方ないなと割り切って購入してくれたお得意さんも、今では高精度で安くないとダメなんですね。

しかし、精度を上げる為にはお金と時間がかかります。しかしそれはコストアップに繋がるのでできません。

ならどうするか?てことで最終的に 製品に一番影響のでない部分をコストダウンして、あとは適当にごまかしちゃえばOKじゃん!!

ってなったのが今回の事件の大まかな流れなんじゃないか?と見ています。

こいつのデータを改ざんしていたんじゃないかな?

各材料メーカーから材料を購入すると、こんな検査証明書ってのが付いてきます。 こいつは俗にミルシートと呼ばれています。

この中には、

  • 材料がどんな成分で出来ているのか?
  • どのくらいの強度があるのか?

などの数値が細かく入っています。

各部品の図面には設計からの材料の指示が入っています。現場ではその図面の指示に従って材料を購入して加工し、納入時にこのミルシートを添付することで、指示通りの材質を使用して製作した事を証明するというのが、現在の一般的なモノづくりの流れとなっています。

恐らく今回の神戸製鋼のデータ改ざんはこういったミルシートの値を若干甘めに記入した、もしくは、そもそも試験なんかしていないけど前例があるから似たような数値で提出したなどではないかと想像します。

そもそも、硬度や引っ張り強さが検査表と多少違くたって、わかりゃしねぇ~よ!!ってのが正直な感想ですし、たぶん改ざんに関わった神戸製鋼の担当もそんなとこだろうと踏んでいます。

年々要求が厳しくなる製造図面&コストダウン

メーカーから出て来る製造図面は、年々要求してくる精度が厳しくなっています。

私は切削加工屋さんなので切削加工で説明しますが、

基本的に物質と言うのは一番バランスの取れている状態で固体になっているので、これを何らかの力を加えて削っていくと、まっすぐに削っても削り終わると必ず歪むんですね。 これには応力が影響していたり、削った際の発熱が原因だったり様々ですが、とにかく削ると少なからず歪むわけです。

ですから削った後も狙った通りに真円や平面を正確に維持させるには、様々な工夫が必要です。材料の選定から始まり、前処理、加工順、加工方法、後処理と多岐に渡ります。

ただ単にざっくりと削れば出来上がるものでも、精度を追求していくと、時間もコストも何倍にも跳ね上がります。

高精度な製品を作るには、当然お金と時間がかかる

精度を上げていけばそれに伴って工数が増えて行き、コストが嵩みます。

ただし、今の製造業では、精度アップによるコストアップは許されないことが多く、むしろコストダウンを要求されることが殆どで、下手をすると納期すら急がされるというのが現実なのです。

より良いものを、より安く、そしてより早くです。

おいおい、吉野家の牛丼かよ!と突っ込みたくなりますが、労働力の安い諸外国に対抗するには、その要求に応えていくしかないわけです。

ギリギリのコストダウンの行き着く先<イマココ

そんな中で、どうしたら品質を下げずにコストダウンを図れるか?と言うことを企業は常日頃から考えるようになるわけですね。

そして行き着いた先が、日産も神戸製鋼も最終検査だったと言うわけです。

例えば日産は検査をしていなかった訳ではなく、検査する人員のコストを削減したわけです。

これにより、特に製品の品質を変えることなく、コストダウンが図れます。

但し、バレなきゃね。

例えば神戸製鋼なら、材料のミルシートの最終検査の値をちょろまかしました。これにより、メーカーの言う精度は無いけれど、JIS基準値よりもちょっと良い材料を製造する、製造面でのコストダウンを図りました。

但し、バレなきゃね。

すべて私の想像でしかありませんが、当たらずとも遠からずかと。

そもそも、金属製品をギリギリの強度のところで使うことなど皆無です、現場だってその部品にどの程度の耐久力があるかは経験で分かっています。長年の経験で大丈夫だと確信するものは大抵大丈夫だったりしますから、データの改ざんがあった事がイコール安全性に問題があるとは言い切れないのが今回の問題の難しいところだと思います。

あの田母神さんも興味深いことをツイッターでつぶやいています。

う~ん、おっしゃることはとても良く分かります。

とはいえ、何度も言うようですが、一連の偽造やごまかしは絶対に許されないんです、ダメなんです。企業としての信用という面では、キッチリとしておかないといけない部分なんです。

ISO9000の弊害もあるんじゃね?

皆さんはISO9000という規格をご存知でしょうか?

いつからか日本の製造業でISO9000という規格が大流行しました。

現在でもその辺の中規模の製造業のホームページをいくつか探せば、ページ上に誇らしげに飾ってあるISO9000の文字がすぐに見つかると思います。

これは何か?と言うと、簡単に言うと製品の品質を維持するための、管理方法(QC)のテンプレートをマニュアル化したものと思ってください。

これを導入することで、社内にベテランが居なくとも、マニュアル通りにこなしていけば、一定水準の製品管理が行えるという事で、一時期は大手企業の下請けになるには、この規格取得が必須になっていた時期もあるほど、大流行しました。

なので、この規格を取得する為に多くの企業がコンサルタントに多額の費用を支払い、その規格維持の為に更にコンサルタントを雇うという、コンサルタント業界を潤すだけのカモになるわけです。

そりゃそうですよね、だってISO9000があるだけで仕事が増えるんですから、そりゃ経営者ならやらない手はないですよ。

まるで、どこかの◯ンドセレクションとおんなじ感じですね。

とはいえ私自身は書類の多さや、作業の煩雑さから、この仕組み自体に懐疑的でした。

ていうか、日本人は書類や手続きを増やすのが好きだから、このシステム自体が日本人の気質に合っていたのかもしれませんね。 実際ISO9000自体は悪い制度ではないと思います。馬鹿みたいに書類の山を作る仕組みでもないんですけどね。そうなっちゃってるのはどこかのコンサルタントがそのほうが取得しやすいからって理由でやってるんでしょうかね?それこそコンサル業界の思うツボなんでしょうけど。

臨機応変に対応出来ないISO9000

なぜ私がISO9000を批判するかというと、書類にがんじがらめになっていて、現場が臨機応変に対応出来ない仕組みだからです。

昔、まだ工場にベテランの職人がいる頃は、最初に設計された部品構造では思うような精度を確保できないとなった場合、無理にその方法を突き進むのではなく、コストを考慮しつつ設計と相談をして、臨機応変に部品構成を変えるなんてことは普通にありました。

しかし、今はちょっとした材料メーカーの変更だけでも、沢山の書類を書き換え、多くの承認が必要です。納期とコスト最優先で動いている状況では、そんな承認を待っていたら納期に間に合わないので、現場でどうにかするしか無くなるわけです。

現場でどうにかしろって言われても、出来ないものは出来ないのだから、それを納入するにはもう書類側を書き換えるしかないって話しも分からなくはないです。

ISO9000などの管理方法は、航空機などの大量の部品をトップダウンで管理するには良いかもしれませんが、製造業全体を全て同じ方法で管理するのは時間とコストがかかり過ぎます。

今回の神戸製鋼の成分データの改ざんなどを想像すると、本来なら成分の維持が厳しいとなった場合には、設計まで話を持っていき、了承を得ればなんら問題のない部分です。 しかしそれをしていては納期に間に合わなくなってしまいますし、コストも勿体ないという事でカットされた可能性が考えられます。(あくまでも私の想像ですけどね)

現場目線の環境構築が急務

品質管理(QC)の為にもISO9000のようなマネジメントシステムは必要だとは思いますが、現状の日本の運用方法は世界一の精度を追求するには向いていないんです。

もっとボトムアップで臨機応変な対応ができる環境構築が必要です。

そういった意味ではカイゼンなどを取り入れたトヨタ生産方式などは、臨機応変さという点では優れています。

ただし、トヨタ生産方式にも色々とデメリットがあるので、それだけでは語れない部分はありますけどね。

ブンガ的結論『それでも改ざんや偽装はだめ』

何度も言いますが、そういう改ざんしたくなる背景があったとしても、改ざんや偽装はダメ。

現状をどうにかこうにか苦し紛れに前に進んだとしても、問題が起きたときには会社の存続を揺るがすほどに信用を落としかねません。

私自身、幾ら得意先から無理な要求されたとしても、出ないものは出ないし、コストがかかるものはかかるってのを、キッチリと説明して対等な立場で解決できる取り引きをしたいなぁと思いますね。

今日も客先から電話があり、某航空会社ではこの件が問題になっていて、もしかしたら該当する部品は作り直しになるかもなんて話しが来ていましたが、まぁその時はその時で迅速に作り直すだけです。

ていうか、これはこれで特需なんじゃね?とか思ったり思わなかったり(^_^;)

久々のブログでなんかMarkdown結構忘れてんじゃん!

ではまた(^.^)/~~~